①小説・随筆 小説のテーマは、「登場人物の心理」の描写にあります。したがって、小説を読む上でまず押さえるべきは、状況設定(いわゆる5W1H)とその推移の把握です。特に「時間」(たいてい時系列にそって場面が設定されています)と「人間関係」に注目するとよいでしょう。また、主人公をはじめとする登場人物の性格描写、内面描写に関しては直接表現と間接表現の二種類があり、直接表現はすぐに分かるのでチェックしやすいのですが、問題なのは間接表現のケースです。ここでは、「情景一致の原則」に従い、論理的に判断していく必要があるので、要注意です。つまり、ネガティブな情念に満ちた人の目にはネガティブな景色が映り、ポジティブな情念に満ちた人の目にはポジティブな景色が映るというものです。例えば、「真っ黒い空からびちょびちょみぞれが降ってきた」という表現があれば、それが目に入っている人の心も、やはり重苦しさや哀しみが満ちていると考えられるわけで、間違っても幸せ気分一杯だとはとても思えないのです。 また、直接、設問として問われることはまず少ないと思われますが、代表的な表現技法として、直喩法(明喩、ストレートに「~のような」と表現する)、隠喩法(暗喩、「…は~だ」のように、暗に示すような表現)、換喩法(事物の特徴、部分、付属物を示して、その事物の本性を示す)、擬人法(活喩、人でないものをあたかも人のように表現する)ぐらいは知っておくと良いでしょう。 さらに小説に似たものとして随筆があります。随筆は小説的なものと評論的なものとに分かれますが、前者は「作者の心理」、後者は「作者の思想」がテーマとなっており、客観性よりも主観性が強いのが特徴です。身近な感じがしてとっつきやすいのが随筆ですが、客観性が厳密でない分、奥が深いのも随筆です。いずれにしても、小説の読み方と評論の読み方を押さえておけば大丈夫です。 ②評論 評論は現代文の中心であり、基本的理解をしっかり押さえておきましょう。そもそも現代文では、主観的な「感性」や「感受性」を問うのではなく、客観的な「論理的思考力」を問うことが主体になっていることをふまえると、それが最もストレートに現れる評論に習熟しておく必要があると言えるのです。 具体的には、問題文を一読する際にラインを引いたり、キーワードを囲んだり、段落ごとの小見出しを付けたりして、文章全体の構造と論点の推移を明確にしておく必要があります。特に筆者の「主張」(言いたいこと)は「強調」という手法を通じて表現されるので、「反復」(言い換え)と「対比」に注目するとよいでしょう。さらに論理の展開は「抽象(骨格)―具体(肉付け、説明)」の繰り返しなので、「抽象」部分をつなげれば全体の要旨になることも知っておきたい所です。そして、問題文を読み始める前に著者名と書名に目を通しておいて、大体のイメージ(著者に対する予備知識がある場合)と全体のテーマ(文章全体を一言で言い表せば題名となる)を押えておくことも有効です(少し高度な技ですが)。こうした作業をあらかじめしておくと、接続詞、指示語、語句説明、空欄補充、主旨説明といった問題に対する解答が非常に容易になります。基本的に問題は文章の流れに沿って出されるので、解答は出題される該当段落(場合によってはその前後)に九割方存在していると見てさしつかえないでしょう。さらに、「人生論」「科学論」「文化・文明論」「言語論」といった取り上げられやすいテーマについて、日頃から接しておくことも効果的です。 ちなみに不思議なのは漢字で、「漢字はからきしダメだが、国語の点はいい」という人は皆無です。漢字力がアップすれば国語力もアップするとは一概に言えませんが、漢字力が無いのに国語力がつくということはあり得ないと言ってよいでしょう。
①助動詞 む・むず=推量(~だろう)、意志(~しよう) べし=「む」の意味を強めたもの。推量(きっと~だろう)、意志(きっと~しよう)、当然、義務(~しなければならない)、命令(~せよ) らむ=現在推量(~ているだろう) けむ=過去推量(~しただろう) ず=打消(~しない) じ=「む」に打消の意味を加えたもの。打消推量(~しないだろう)、打消意志(~するまい) まじ=「べし」に打消の意味を加えたもの。打消推量(きっと~しないだろう)、打消意志(決して~するまい)、打消当然、禁止(〜べきではない、〜てはならない)、不可能(〜できそうもない) き=過去(~た) けり=過去(~た)、詠嘆(~なあ) り・たり=完了(~てしまった、~た)、存続(~ている) つ・ぬ=完了(~てしまう、~てしまった、~た) なり・たり=断定(~だ) らし=推定(~らしい) なり=推定(~のように聞こえる) めり=推定(~のように見える) る・らる=受身(~される)、尊敬(~なさる)、自発(自然に~してしまう)、可能(~できる) す・さす・しむ=使役(~させる)、尊敬(~なさる) たし=願望(~したい) まほし=願望(~したい) まし=「~ましかば・・・まし」などの形を取る。反実仮想(もし~だったら・・・なのになあ) ②助詞 ぞ・なむ・こそ=強意(「ぞ・なむ」は文末連体形接続、「こそ」は文末已然形接続~係り結びの法則) や・か=疑問(~か)、反語(~のはずがない)(「や・か」は文末連体形接続~係り結びの法則) ば=順接仮定条件(未然形接続、もし~ならば)、順接確定条件(已然形接続、~なので、~してみたら、~すると必ず) ど・ども=逆接確定条件(已然形接続、~だけれども) とも=逆接仮定条件(終止形接続、たとえ~しても、~ても) つつ=反復(~しては) だに=類推(~さえ)、最小限(~だけでも) てしがな=願望(~したい) なむ=要望(未然形接続、~してほしい) もが・もがな=希求(~がほしいなあ、~だといいなあ) そ=禁止(副詞「な」と呼応、~するな) かし・ぞかし=念を押す(~だよ、~だね) ③敬語 尊敬語=動作主体に対して直接敬意を表す語。 謙譲語=動作主体を低めることにより、動作対象に対して、間接的に敬意を表わす語。 丁寧語=聞き手・読み手に敬意を表わす語。 最高敬語=尊敬語を重ねて敬意を強調。天皇・上皇・摂政・関白ら身分の高い人物に限られるため、人物確定の判断材料となる。 ④超重要名詞 あそび(遊び)=音楽を奏でること あはれ=感動、情趣 おぼえ(覚え)=寵愛、評判 かげ(影)=光、姿・形 かたち(形、容、貌)=容貌、ありさま かち=徒歩 きは(際)=ほど、時、身分 けしき(気色)=様子 こころばへ(心ばへ)=性格、風情 ことわり(理)=道理 せうそこ(消息)=手紙、知らせ つれづれ=退屈、ものさびしさ としごろ(年頃・年比)=数年、数年間 ひごろ(日頃)=数日、近頃 ふみ(文)=手紙、漢詩・漢文、書物 よし(由)=理由、方法、意味、風情、そぶり、こと よのなか(世の中)=世間、この世、男女の仲、身の上 ⑤超重要動詞 いらふ(答ふ)=返事をする おこなふ(行ふ)=修行する、処理する おどろく(驚く)=気づく、目覚める ぐす(具す)=備わる、備える、連れる、お供する こころあり(心有り)=道理が分かる、思いやりがある、風流が分かる ときめく(時めく)=栄える、寵愛を受ける ながむ(眺む)=もの思いに沈む、ぼんやりと見やる ものす(物す)=(代動詞)ある、いる、行く、来る ⑤超重要形容詞 あさまし(浅まし)=意外だ、嘆かわしい、見苦しい あし(悪し)=醜悪だ、ひどい あぢきなし(味気無し)=無益だ あやし=(怪し)奇妙だ、(賤し)見苦しい、身分が低い あらまほし(有らまほし)=あってほしい、望ましい いふかひなし(言ふ甲斐無し)=言っても仕方が無い、情けない いみじ=(程度が大きいことを表わす)ものすごい、すばらしい、ひどい いやし(卑し・賤し)=身分が低い おぼつかなし=はっきりしない、気がかりだ、待ち遠しい かしこし(畏し)=恐ろしい、恐れ多い かたはらいたし(傍痛し)=(はたから見て、心が痛む状態を表わす)見苦しい、気の毒だ、恥ずかしい こころなし(心無し)=(「こころあり」の反対語)思いやりが無い、道理が分からない、風流が分からない こころもとなし(心許無し)=じれったい、気がかりだ、ほのかだ さうざうし=物足りない すさまじ(凄まじ)=興ざめだ つきづきし=ふさわしい ところせし(所狭し)=窮屈だ はかなし=頼りない、取るに足りない、空しい はしたなし=中途半端だ、ばつが悪い、無作法だ やむごとなし=格別だ、高貴だ よし(善し、良し、好し)=すばらしい よしなし(由無し)=関係が無い、方法が無い、意味が無い よろし=まずまずだ、適当だ らうたし=かわいい わろし(悪し)=よくない をかし=趣がある ⑥超重要形容動詞 あはれなり=(物事がしみじみと心にしみる状態を表わす)趣深い、かわいい、気の毒だ いたづらなり(徒らなり)=無益だ、暇だ さらなり(更なり)=もちろんだ すずろなり(漫ろなり)=思いがけない つれづれなり(徒然なり)=退屈だ、ものさびしい ⑦超重要副詞 あからさまに=ちょっと いかで(如何で)=(願望)何とかして、(疑問・反語)どうして いと=たいそう、(下に打消の言葉がある場合)大して いとど=ますます うたて=異常に、厄介なことに、嫌なことに え(下に打消の言葉を伴う)=~できない げに=なるほど さすがに=そうは言っても、何と言っても とく=早く、すでに な(終助詞「そ」と呼応する)=~するな なかなか=かえって やうやう=ようやく やがて=すぐに、そのまま ⑧その他重要語 さるべき=適当な、実現するはずの、立派な さりとて=だからといって さるは=とは言うものの いかがはせむ=(疑問)どうしよう、(反語)どうしようもない ⑨超重要常識語 つごもり(晦日)=月末、月の末日 おほつごもり(大晦日)=おおみそか みそか(晦・晦日)=月の末日 もちづき(望月)=満月、十五夜の夜 あかつき(暁)=夜明け前の暗いうち あけぼの(曙)=夜が明け始める頃 つとめて=早朝、翌朝 あした(朝)=朝、翌朝 うま(午)の刻=午前十一時~午後一時(正午頃) かんだちめ(上達部)=太政大臣・左大臣・右大臣・大納言・中納言・参議の総称 てんじゃうびと(殿上人)=宮中の殿上の間に上ることを許された貴族 ちゅうぐう(中宮)=天皇の正妻 にょうご(女御)=天皇の妃で中宮に次ぐ者 かうい(更衣)=天皇の妃で女御に次ぐ者 にょうばう(女房)=宮中や高官に仕える女性 ずいじん(随身)=貴人の外出を護衛する勅命の役人 ずりやう(受領)=任地で政務を執る国司 そくたい(束帯)=公家の正装 なほし・のおし(直衣)=公家の平服 ひたたれ(直垂)=庶民の服。鎌倉時代には武家の平服となった かりぎぬ(狩衣)=元は鷹狩りなどに着る衣装。平安中期に公家の平服となり、鎌倉時代には武家の礼服となった かたたがへ(方違へ)=外出する時、目的の方角が不吉とされると、まず別の方角の場所で一泊してから出かけること ものいみ(物忌み)=不吉なことを避けるため、一定の期間、家などにこもって、身を清めていること
①返り点 レ点=すぐ上の一字に返って読むのに用いる 一二点=二字以上隔てて上に返って読むのに用いる 上中下点=一二点をはさんで上に返って読むのに用いる ②返読文字 不(ず)=~しない、~ない 非(あらズ)=~ではない(体言の否定) 勿・毋(なカレ)=~してはいけない(否定・禁止を表わす) 雖(いへどモ)=~だが、仮に~であっても 所以(ゆゑん)=理由・目的・方法・対象を示す 自・従(よリ)=~から(起点や出所を示す) 由(よッテ)=~をよりどころにして 与(と)=~と・・・とは 如・若(ごとシ)=~のようである(比況) 見・被(る・らル)=~(ら)れる、~される(受身) 使・令・教・遣(しム)=使役を示す ③再読文字 未(いまダ…ず)=まだ~していない、今までに~し(てい)ない 将・且(まさニ…ントす)=今にも~しようとする、今にも~なろうとする 当(まさニ…ベシ)=~しなければならない、~するのが当然だ 応(まさニ…ベシ)=きっと~だろう、~するのが当然だ 宜(よろシク…ベシ)=~するのがよい、~した方がよい 須(すべかラク…べし)=必ず(是非とも)~しなければならない(する必要がある) 猶・由(なホ…ノゴトシ・ガゴトシ)=ちょうど~と同じだ、あたかも~のようだ 盍(なんゾ…ざル)=どうして~しないのか(~すればいいのに) 【高卒認定試験国語の問題構成】 [一]小説・随筆系問題 問1 漢字の読み5問 各1点(合計5点) 問2~問5 心理描写に関する五択問題 各5点(合計20点) [二]評論系問題 問1 漢字の書き5問 各1点(合計5点) 問2~問6 筆者の主張・考えに関する五択問題 各4点(合計20点) [三]古文問題 問1~問5 指示内容・語句解釈・主語確定・内容説明問題5問 各5点(合計25点) [四]漢文問題 問1~問5 語句説明・内容説明・読み下し・内容合致問題5問 各5点(合計25点) 【高卒認定試験国語攻略の裏技】 やれるだけ頑張ってダメなら、古文・漢文を捨てることです。
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