高卒認定試験合格後は…(受験編)

大学か専門学校か~「とりあえず」なら大学!

 「大学」に行くべきか、「専門学校」に行くべきか、悩むケースがあります。単純に言えば、「とりあえず行く」なら「大学」、「目的意識・職業意識が明確」なら「専門学校」となります。大学の最大のメリットは「学歴」です。日本社会が「学歴社会」であることは言うまでもなく、「最終学歴=大学」が「一生のパスポート」となっていることは事実です。ですから、「取り立てて何かやりたいことが明確ではない」という場合であれば、とりあえず大学に入って、4年間で「自分の本当にやりたいこと」「自分に向いていること」を見つける方が賢明です。業界によっては、「大卒は当たり前」という世界もあり、「大卒だからすごい」ということはまずありませんが、最低限、「大卒」という学歴が確保できることは魅力です。
 一方、専門学校は2~3年間で専門的知識・技術を身につけ、ある意味では「腕一本で勝負していく」世界です。自分の専門分野がはっきりしていて、職業意識もあり、「これで自分は勝負していくんだ」という実力志向、「手に職を持つ」という方向性の場合は専門学校へ行った方が手っ取り早いということになります。初任給は大卒に比べて安いですが、その後は実力と腕で切り開いていくということになります。
 例えば、「コンピュータが好きだから工学部に行きたい」という場合がありますが、よくよく聞いてみると、「2D(2次元・平面)か3D(3次元・立体)のCG(コンピュータ・グラフィック)デザイナーになりたい」とか「ネットを使って何か仕事をしたい」という希望だったりします。それであれば、わざわざ工学部へ行ってハードに関わる勉強をする必要はなく、専門学校で最先端の技術と知識を学んだ方がいいということになります。専門学校には求人もよく来ていますし、アルバイトでもう仕事を始めることもできます。大体、デザイナーですぐに食べていける人はほとんど皆無と言ってもいいので、たいていの専門学校では最低「プログラマー」になれる訓練をして、基本情報技術者試験を受けさせたりしています。
 また、経営者の立場から「即戦力なら専門学校卒、企画やアイデアなら大卒」ともよく言われます。技術的に得意な人がいれば、その人に仕事を下ろせばいいのであって、もっと上のレベルで何かアイデアを出したり、企画を練ったりするのであれば、一見ムダのような4年間を過ごした大卒の方がおもしろいことを考えてくるというわけです。
 10代後半から20歳前後で一生の職業を決めるということも実は大変なわけで、それが明確なら専門学校へ、そうでなければとりあえず大学へ行くのが無難ということになるでしょう。大学在学中に、あるいは卒業後に職業意識が明確になって、ダブルスクールをすることも今では当たり前のように行なわれています。それが法律系試験対策だったり、税務系試験対策であったり、公務員試験対策であったり、教員採用試験対策であったり、英会話スクールであったりするわけです。

文系か理系か~高卒認定受験生なら90%は文系!

 大学受験上の選択は「文系か理系か」(好き嫌い、能力・適性による)→学部(将来の職業、興味・関心による)→大学(学力による)の順番で決めていくことになります。最初に決めなければならないのは、「文系か理系か」という選択です。大体、高卒認定試験受験生であれば、90%は文系であると言ってよく、その場合、受験科目は基本的に国語(現代文・古文まで)、社会(世界史か日本史かどちらか好きな方)、英語の3教科を押さえておけば、私立文系ならほとんど受験が可能です。
 国公立大学文系を受験するためには、「5教科7科目」になり、社会は地歴(世界史、日本史、地理)1科目、公民(現代社会、倫理、政経、倫理・政経)1科目の2科目必要で、理科も1科目、数学は基本的に数ⅠA・数ⅡBの2科目必要になってきて、負担が格段に増えます。しかし、この場合も先程の「基本3科目」が核になることは間違いなく、これらが弱いのに国公立大学文系を志望するということは考えられませんで、最初はこの3科目に集中することになります。
 「大学のレベルは基本的に英語で決まる」と言ってもよく、大学のレベルが高いほど英語の問題が質量共にアップし、レベルが下がればマークシート主体の文法問題の比重が増えてきます。文系・理系を問わず、英語が弱いと大学受験にならないので、苦手な人は如何に早く英語の勉強だけでもスタートさせるかがカギとなります。また、英語の力を密かに支えているのは国語、それも現代文の力です。現代文の実力以上に英語の実力はつきませんので、「英語を伸ばしたければまず現代文に強くなれ」ということも知っておくとよいでしょう。
 理系は「好きだから」と漠然と志望するケースが見られますが、これは絶対に避けなければなりません。文系は幅が広いので、入学してからどうにでもなりますが、理系はその分野が「好き」なのは当然として、それ以上に「能力」があることを大前提としなければいけません。「能力」とは具体的には「数学の力」を指します。見極めは数ⅡBで、最低数ⅡBがすでに終っているか、そのメドが立っていて、なおかつ武器になるというレベルです。そうでなければ文系に行って、自分のやりたいことをできる形でやった方が賢明です。選り好みをしなければ入れる所はありますが、数学の力が弱いと4年で卒業することが難しくなるのです。テキストも基本的に数学の力をベースとしているので、何が書いてあるか分からず、一夜漬けもできないという事態が現実に起こっています。さらに、理系の場合、学部4年の卒業では研究歴としては見られず、大学院修士課程2年卒業でやっと「研究をしてきた」と見なされるので、先は長いのです。実験も多く、時間も結構取られますから、理系に進む場合は決して甘く考えないことです。
 理系でカギとなるのは、英語と数学の2教科です。いずれも時間がかかる科目ですので、1年以上の時間を取るべきです。半年で目指す道ではありません。ある意味で理系は、「優秀なエリートのみが行くべき道」とも言えるのです。バラエティに富んだ文系と同列に考えるべきではありません。

学部は情報収集から~職業か関心分野で!

 基本的に学部については、将来の職業につながるもの、あるいはそれが明確でなければ自分の興味・関心がある分野で選ぶことになります。文系の代表的学部は法学部・経済学部・社会学部・文学部・教育学部で、理系の代表的学部は医学部・理学部・工学部・薬学部・獣医学部・農学部などがあります。

【文系】
①法学部
 司法試験志望者とそれに準ずる資格志向組、公務員試験・一般就職志向組に分かれます。司法試験志望者であれば、法科大学院(ロースクール)設置大学を目指すのが何かと便利でしょう。また、たいてい司法試験志望者はそれに準ずる資格試験を受けたりするので、法務関連の資格について知っておくとよいでしょう。ちなみ、法学部で学ぶ内容は公務員試験受験者には有利に作用しますし、就職でも法学部は「最もつぶしが利く」という評価は昔も今も余り変わりません。

【法学検定・ビジネス実務法務検定】
 法学検定は法律系資格としては一番有名で、合格すれば法律学について相当の能力があると社会的に認められ、就職等に有利になります。アドバンスト(上級)コース(法学部修了程度)、スタンダード(中級)コース(法学部3年程度)、ベーシック(基礎)コース(法学部2年程度)、法科大学院既習者試験(法学既習者試験)の4つがあります。ビジネス実務法務検定は1~3級に分かれていて、法学検定より実務的な内容になっており、法務部のみならず、全ての分野のビジネスマンが受検しておいた方がよいと言われています。特に憲法・民法の知識・理解は法務系資格のみならず、公務員試験などでも必須です。

【司法試験】
 これに合格しないと、日本における国家資格の最高峰「法曹三者」(裁判官・検察官・弁護士)になれません。アメリカでは法学・経営学・医学の分野では大学院で高等専門教育を行なうシステムになっており、日本でも司法試験を受験するためには、法科大学院(ロースクール)課程を修了、または司法試験予備試験の合格のいずれかが必須条件となりました。法科大学院を終了した者は、その後5年度間に3回の範囲で司法試験を受験することができますが、受験資格が消滅した場合、法科大学院を再び修了するか、予備試験に合格すれば、再び受験することができます。

【司法書士】
 裁判所や法務省などに提出する申請書類などの代行を独占業務とし、仕事の8割は不動産登記に関するものですが、個人訴訟の背後には必ず司法書士がいるとされ、弁護士の少ない地方では「街の弁護士」として様々な形で活躍する人が多いようです。試験科目は、憲法、民法、商法、刑法、民事訴訟法、民事執行法、民事保全法、不動産登記法、商業登記法、供託法、司法書士法で、地道で根気さえあればいつかは合格できる試験です。したがって、法律に興味はあるが、とても司法試験は自信が無いという人に向いています。

【行政書士】
 役所・官公庁に提出する書類作成の代行を独占業務としています。「街の法律家」どころか弁護士もどき、トラブルシューターとしての役割も担うことができます。

【弁理士】
 特許、実用新案、意匠(デザイン)、商標などの工業所有権に関して、調査・鑑定から特許庁への出願・申請を代行し、「理系の弁護士資格」とも言われています。こうした工業所有権の出願数に対し、弁理士は絶対的に不足しているとされます。

②経済学部・経営学部・商学部
 経済学部は経済学という学問をやる所で、文系の中では数学を使う学部です。経営学部は基本的に経営サイドの勉強をする所で、商学部はビジネス全般について学ぶ所です。日本の大学の場合、この3者に余り明確な区別はありません。ただ経済学部ではミクロ経済学、マクロ経済学、国際経済、金融論などが主要分野となり、経営学部ではマーケティング(市場調査)、アカウンティング(会計)、マネジメント(経営管理)といった分野が主要となり、商学部では商法から企業・ビジネス全般について扱うことになります。いずれにしても簿記の知識があると便利です。

【簿記検定】
 会計・税務系資格の入り口は簿記検定です。日商簿記検定1級または全経(全国経理学校)簿記能力検定上級の合格がスタートとなり、会計・税務系ではこれが事実上のエントリー・レベルとして広く認められています。

【公認会計士】
 経理・会計分野の最高峰の資格。業務は会計監査、財務、経理などで多岐にわたります。かつてはコンサルティング業務が花形でした。試験のうち短答式は財務会計論、管理会計論、監査論、企業法について行われ、総点数の70%が合格基準です。論文式は、会計学(財務会計論、管理会計論)、監査論、企業法、租税法および経営学・経済学、民法、統計学の中から1科目について行われ、52%の得点比率を基準として、公認会計士、監査審査会が相当と認めた得点比率が会計基準となります。

【税理士】
 試験科目は簿記論と財務諸表論が必修、法人税か所得税のいずれか選択必修、相続税法、消費税法または酒税法、国税徴収法、事業税または住民税、国民資産税および選択必修科目として選択しなかった科目のうちいずれか2科目を選択します。科目合格制があるので、合格した科目はずっと有効であるため、働きながら受験していって5科目合格を達成していく人も多くいます。

【不動産鑑定士】
 不動産の鑑定評価が独占業務であり、短答式試験は不動産に関する行政法規、不動産の鑑定評価に関する理論について行われ、論文試験は民法、会計学、経済学、不動産の鑑定評価に関する理論(演習含む)からの出題となります。

【中小企業診断士】
 国、地方自治体、商工会議所の実施する中小企業への経営支援を行う専門家としての側面と、民間のコンサルタントとしての2つの側面を持ちます。登録者の7割以上は独立開業は行わず、企業内診断士になっています。

【社会保険労務士】
 労働社会保険諸法令により行政機関への提出が義務付けられている帳簿や書類の作成、提出代行、相談、指導を行う労務のエキスパートです。

【米国公認会計士(CPA)】
 国際会計基準の導入により注目を集めています。筆記試験は企業財務会計及び公会計、法規、ビジネス環境及び概念、監査及び検証の4科目で、100点満点中75点を取れば合格です。まず受験する州を決め、その州での受験資格を取得し、筆記試験を受けることになります。

【米国税理士(EA)】
 役割は日本の税理士と一緒で、税務申告書の作成から税務コンサルティングまで、米国税法の専門家として活躍できます。米国公認会計士と違って受験資格がなく、東京でも受験が可能です。日本企業の海外進出や米国企業の対日進出、在米日本人の納税申告や在日米国人の納税申告などについての業務や、二国間税務コンサルティングなどの業務が期待されています。

【ファイナンシャル・プランナー(AFP・CFP)】
 個人のライフプランに応じた資産設計をアドバイスする専門資格。 国家資格としては1級・2級・3級ファイナンシャル・プランニング技能士があり、2級はAFP(基礎資格)試験を兼ねています。合格者はAFP認定研修を修了し、日本FP協会に入会することで、AFPになることができます。1級はCFP(上級資格)試験を兼ねておらず、国際的に通用するCFPを取得するためにはCFP試験に合格し、CFPでエントリー研修を修了し、3年以上の実務経験をしてCFPになることができます。AFP・CFPいずれも継続教育が義務付けられ、資格更新要件となっています。

【MBA(経営管理学修士)】
 ビジネスリーダーに必要な学際的スキルを身につけるもの。アメリカの経営大学院(ビジネススクール)トップ20の優位は揺ぎなく、できればこれらのいずれかを卒業することを目指したいものです。

③社会学部
 社会と名のつくものは全てこの学部に含まれます。福祉系・心理学系の勉強も入りますので、「心理学をやりたいけど、心理学部・学科は競争率が高くて難しい」という場合、関連学部へ行って心理学を学ぶという道もあります。臨床心理士を目指している場合でも、最終的には指定大学院に入ることが問題なので、とりあえず大学4年は行ける所へ行って心理学を学び、4年間の勉強で指定大学院を目指すという次善の策も出てきます。さらに「広告代理店へ行きたい」という希望であれば、社会学部へ入って社会心理学や社会学、統計学など一通り学び、いろいろな経験を積んでコンテンツ(中身)作りに徹し、できれば在学中からバイトで入って仕事を覚えながら、顔と人脈を広げるというのが常道です。
 ちなみに心理学は文字通り、「心」の学問です。人文系の学問ですが、唯一自然科学の方法が導入され、成功している分野で、「科学的」であるということが大きな特徴となっています。心理学を専門に研究するならば、心理学科に進む以外ありませんが、ここでの難点はその数が少なく、競争率が高いことです。5~6倍はまず普通、10倍を超えるケースも珍しくありません。しかも、心理学の専門家としてやっていこうとするなら、大学院に行くことも考えるべきですし、ひいては留学ということも考えられます。
 したがって、心理学を専門に勉強し、将来それで食べていくとなれば、相当な決意をし、勉強して準備しなければならないことを自覚しておくべきです。逆に少し興味がある程度なら、専門にするのではなくもっと入りやすい学部を選んだ方が賢明です。

【国家公務員】
 「心理」という試験区分があります。法務省で矯正教育(少年院など)に携わったり、厚生労働省・警視庁に入る場合もあります。

【教師】
 教育原理、教育心理学、教育史、教育法規、一般教養、専門試験からなります。教育心理学は必修であり、教育現場はカウンセリングの基礎知識・技術がないと難しい所です。

【認定心理士】
 日本心理学会が認定する、心理学の基礎資格。心理系の大学を卒業すれば、申請すれば取れます。職場としては企業内相談室、民間相談室、学生相談室などがあります。

【産業カウンセラー】
 日本産業カウンセラー協会が認定する民間資格で、誰でも受験でき、基礎的、入門的資格として知名度が高いと言えます。職場としては企業内相談室、民間相談室、学生相談室などがあります。

【臨床心理士】
 日本臨床心理士資格認定協会の認定資格。大学の心理学部を卒業し、第1種指定大学院で心理学を学び、修士の学位を取得した上で試験を受けるか、第2種指定大学院で心理学を学び、修士の学位を取得した上で、心理臨床現場で1年以上の経験を積んだ後、試験を受けることになります。職場としては企業内相談室、民間相談室、学生相談室、スクールカウンセラー、精神病院・クリニック、児童相談所、警察・家庭裁判所・少年院などがあります。

④文学部
 「外国語を学びたい」という人は文学部になりますが、その場合、語学・コミュニケーション系がやりたいのか、文学がやりたいのかで2つに分かれてきます。語学・コミュニケーション系が希望の人であれば、留学システムを持っている大学を選ぶのがいいでしょう。例えばアメリカに留学する場合、銀行口座を開くにも車の免許を取るにもソーシャル・セキュリティー・ナンバーを取得しなければなりませんし、そのためには電話でアポイントを取って最低2回は出かけていかなければならないので、最初から何から何まで自分で背負い込むのは大変なことです。1回目の留学は安全第一で、現地慣れすることを優先とし、多少高くても大学のシステムを利用する方が無難でしょう。2回目以降は自分でビザ申請から全てやって、安く上げるということも考えられます。また、大学によっては単位互換制度で留学先での勉強が単位認定されるので、これはこれで便利です。

【英検(実用英語検定)】
 履歴書に書けるのは2級以上、英語力としての評価対象は準1級以上でしょう。

【国連英検】
 特A級からE級まで6ランクに分かれており、上級レベルになると国際関係・国際政治などの問題意識や判断力も問われます。

【TOEIC】
 国際コミュニケーション・ツールとしての英語力を10~990点のスコアで検定。リスニング100問、リーディング100問。会社でも昇進条件としてこれを義務付ける所も出始め、大学でも対策講座を設ける所は多くあります。ビジネス英語としての評価は英検以上。

【TOEFL】
 アメリカの大学・大学院に留学する際に、授業についていけるかどうかを判定することを目的としたテスト。アメリカ留学の第一関門であり、現在はiBT(コンピュータ・テスト)中心です。

⑤教育学部
 先生になりたい人は教育学部ということになりますが、どの学部でも教職単位を取れば、教員免許は取れます。小学校・中学校・高等学校・養護学校など校種がいろいろありますが、取れるものは取っておきたいところです。また、教育学部に行っても教員にならないケースも増えてきていますので、その場合、何かウリを作ることも大切になってきます。

【教員免許】
 大学で教職単位を揃え、教育実習に行けば取得できます。卒業後に改めて取ろうとすると、手間がかかるので、取れる時に取っておきましょう。実際に教員になるには各都道府県で教員採用試験を受験しなければなりません。

【司書】
 公立図書館等で図書資料の選択・購入、図書案内や指導などを行います。教員免許同様、単位を揃えれば取得できますが、大学・学部の設定によるので、確認が必要です。また、最近では学校図書館司書教諭のニーズも高まってきました。

【学芸員】
 博物館・美術館等で資料の収集、保管、調査研究などを行います。単位取得によって資格が発生しますが、実務経験からの道もあります。

【理系】
①医学部
 医者になるなら医学部です、医師国家試験の合格率は非常に高いので、難関試験である医学部受験がカギとなります。いわゆる「入り口勝負」です。ただ、最近は医療スタッフが多様化・専門化し、需要が増大してきているので、学力的に医学部を目指せないとしても、看護師、理学療法士、作業療法士、診療放射線技師といった医療スタッフを目指す道があります。これらは専門学校でも学科試験・面接・小論文が課せられるので、準備が必要です。

②理学部
 理学部が理論研究、工学部が応用技術研究と位置づけたらよいでしょう。数学系・物理系・化学系・生物系に分かれます。研究者の道を行くなら大学院へ行くべきです。

③工学部
 電子・情報系(専門学校がソフト主体なら、工学部はハード主体と考えたらよいでしょう)が最難関です。建築・土木も人気があります。合成化学・応用化学なら比較的文系に近いと言えます。

④薬学部
 薬剤師になるための学部なので、国家試験を目指して当然ですが、最近では製薬会社でもドクターを少しずつ取り始めていますので、さらに大学院で研究を続けている人も増えています。基本的に「薬剤師の免許を持っていれば食いっぱぐれはない」とも言えるので、女性に人気です。

⑤獣医学部
 かつて「動物のお医者さん」で北海道大学獣医学部がブレークしましたが、元々全国的に数が少ないので、競争率が高いのが難点です。関連する職種として獣看護士などがあります。

⑥農学部
 いわゆるバイオ系学科はたいていここに含まれます。やはり、できれば大学院まで目指したいところです。

大学は3ランクで~中堅大学以上を目指そう!

 基本的に自分の実力よりは上の目標校を2~3校、同レベル校を2~3校、すべり止めを2~3校設定し、少なくとも5~6校、できれば7~8校受験して、合格した中から選んでいくという段取りがベストです。勉強開始段階では中堅大学を目標とし、勉強を続けていく中でレベルが上がっていけばさらに上位校を目指し、本番までになかなか伸びきらなければすべり止めを充実させればいいわけです。
 中堅大学の標準は「日東駒専(日本大学・東洋大学・駒澤大学・専修大学)」「大東亜帝国(大東文化大学・東海大学・亜細亜大学・帝京大学・国士舘大学・国学院大学)」のように、「名前は誰でも知っていて、実力がそこそこ認められている大学」ということになります。この上には「六大学(東京大学・早稲田大学・慶應義塾大学・立教大学・明治大学・法政大学)」「ミッション・スクール(ICU・上智大学・青山学院大学・津田塾大学・東京女子大学)」「準上位校(中央大学・学習院大学)」などが控えており、ここから「G-MARCH」(学習院・明治・青学・立教・中央・法政)というブランド・ラインが出てきます。
 基本的スタンスとしては「精一杯頑張って、できるだけ上の大学へ行く」ということになります。大学は学力で入学が決まるのですが、学力はその人の意識・視野・思考・志向などと密接に結びついているので、上の大学ほど質の高い「人的環境」に恵まれるというのは事実です。もちろん、上位校でも遊んでいる人は遊んでいますし、有名でない大学であっても頑張る実力派は必ずいます。ただ、上位校には相対的に質の高い人間が集まりやすいということは否定できないでしょう。例えば、慶應義塾大学の中でも経済学部や大学院の総合政策学部はレベルが高い所ですが、ゼミなどでもすごい人が集まったりして感心させられることがあります。社会に出れば企業で中堅リーダーになること間違いなしのような人達であれば、同窓会がそのまま巨大な人脈作りになってしまうわけです。
 ところで、日本の社会は「学歴社会」、それも「最終学歴主義」であることは論を待ちません。東大・早稲田・慶應といったトップグループなら、研究室などに就職先の指定席があり、「座して待つ」ということもあり得ます。しかし、中堅以下の大学ならネームに頼ることなく、自分で自分を磨き、売り込みをかけていくぐらいの心意気が必要です。
 ある女子大生は700社にエントリーしながら、面接にまでこぎつけたのはわずかに7社。そのうち2社から内定をもらうことに成功しています。実際、これはいい方です。早々と内定が決まる人と、何十、何百社回っても全然決まらない人と、二極化傾向も起きています。在学中に何をしてきたのか、どんなことができるか、どんな資格を持っているのか、どういう仕事をしたいと考えているのか、こういったことがより問われるようになってきたのです。昔のように体育会系で幹事とか役をやっていると有利といった時代は過ぎ去りました。在学中からネット・ビジネスに携わり、起業する人物も出てくる中、即戦力志向はますます強まってきていると言ってもよいでしょう。
 取れる資格は極力取っておき、留学制度があれば短期・長期を問わず、それに参加し、職歴・キャリアもすでに手をつけられるものなら手をつけておきたいところです。在学中は「最大の自己投資期間」ですから、これを有効に活用しましょう。

推薦入試・総合型選抜は受け放題~キープを作ろう!

 9~11月に推薦入試・総合型選抜(旧AO入試)が盛んに行われますが、最近では高卒認定試験合格者も受験できるケースが増えていますので、情報収集して積極的に受験しましょう。たいてい書類審査・面接・小論文というパターンなので、練習・指導を重ねれば心配いりません。他の大学に受かって入学を辞退する場合、推薦入学者でも文部科学省の指導により原則として入学金以外は返金されます。つまり、推薦入学もキープとして使えるのです。安心して推薦入試を受けましょう。

大学入学共通テストは必ず申し込む

 大学入学共通テストは必ず受けることです。共通テストの申し込みは10月上旬~中旬で、試験日は1月中旬の土日です。国公立大学受験生は共通テストが必須の共通1次試験で、2月下旬にそれぞれの大学で2次試験を受け、合算で合否が出ます。私立大学受験生はたいてい2月にそれぞれの大学の試験を受け、合否が出るのですが、最近では「共通テスト方式」を採用する大学も増えてきました。これは申し込みさえすれば、大学入試センターから共通テストの得点が伝達され、それだけで合否が出るというものです。したがって、その大学の入試に関しては実質無試験であるにもかかわらず、合格がバカスカ出るといった事態も生じるのです。これは思った以上においしいので、ダメもとで受けましょう。