高卒認定の意義

高卒認定  「高卒認定(高等学校卒業程度認定試験)」は以前は「大検(大学入学資格検定)」と呼ばれていましたが、2005年から名称だけでなく、その意義も大きく変わりました。それがどういう意味を持つのか、理解しておくことは有益です。

(1)名称が「高等学校卒業程度認定試験」に変わる→「実質的学歴化」

 大学・短大・専門学校への進学のみならず、就職・資格試験まで幅広く適用されますので、合格者は実質的に「高卒」として「認定」されます。したがって、従来は中卒・高校中退者が「どうしても高校ぐらいは」と考える場合、通信制高校・定時制高校・単位制高校に入学して、最低74単位の取得(通信制高校の場合、出席+レポート+試験)、1年10時間以上合計30時間以上の特別活動などの全ての条件を揃えて、卒業する以外にありませんでしたが(卒業率は読売新聞の調査では平均20%です)、2005年からはこの「高等学校卒業程度認定試験」を効果的に活用することができるようになりました。(1回の試験ででも)これに合格すれば、更新はありませんので一生有効となり、特に進学する場合は進学先の大学・短大・専門学校が「最終学歴」として社会的評価の対象(採用・人事・初任給などに反映)となりますから、「これまでが問題」ではなく、「これからが勝負」と考えることができます。

(2)英語必修化、技能系科目廃止、1科目減へ→「学力試験化」

 センター試験(大学受験における共通試験)と同じく基本6教科(国語、地歴、公民、数学、理科、英語)となり、最大8科目となりました。2014年度からは新課程導入に伴い、最大8〜10科目となっています。受験生の悩みは英語と数学ですが、早目に始めれば「ゼロからのスタート」「中学校時代からすでに苦手」の状態でも安心して準備できます。逆に高校1年レベルの高卒認定試験の勉強をしていけば、そのまま大学受験の基礎学力を固めていることにもなるので、大学受験希望者にはこれほど便利な試験はありません。高卒認定試験の勉強と大学受験の勉強を同時に進めることは、大変どころか、むしろ一挙両得となるのです。

(3)全日制高校在籍者も受験可能に→「とりあえず高卒認定受験が得策」

 「高校が合わないな」と感じた方には(早い人は入学後1週間でも感じます)、「高卒認定」受験の道があります。高校を辞めるかどうかの決断は全科目合格してからでも遅くありません。上位大学へ進学を希望している人の中には、高卒認定試験合格の後に専門予備校へ通って大学受験勉強に専念するという選択をする人もいます。


高卒認定試験の現状

 昔は「大検は難しい」というウワサも聞かれましたが、1998年に大検は大きく変わりました。この時に全科目合格者の割合が初めて50%を超えたのです。つまり、2人に1人は一発合格しているのであり、きちんと準備すれば合格するのはそれほど難しくない試験となったのです。
 その後、従来は免除科目ではなかった科目についても選択科目免除に当てることができるようにしたり、受検資格から中卒資格を外して年齢のみを条件としたり(したがって中学校から不登校で卒業できていなくても、外国人学校の生徒でも皆大検を受検できるようになりました)、科目数を最大11科目から9科目に減らして試験日程も4日から2日に短縮、試験時間も最大1時間20分から一律50分に短縮、そして、8月初旬と11月中旬の2回受検にするなど、毎年制度を改善してきています。合格ラインもこの時に40点と確定的になりました(Aランク:100~80点、Bランク:79~60点、Cランク:59~40点、ただ現実には若干の下方修正を加えているケースも見受けられます)。
 さらに2005年度から「高卒認定試験」となり、「英語必修化、1科目減」に加えて、全日制高校在籍者も受験OKとなりました。高卒認定試験は更新制度がなく、1回取れば一生有効なので、「高校を辞めようかどうしようか」「転校しようかどうしようか」と迷っている人も、とりあえず準備して高卒認定試験を受けてみるのが、賢い選択であると思われます。
 ただし、「英語必修化、技能系科目廃止」に見られる「学力試験化」の傾向が唯一心配されるところですが、あくまで基礎学力試験であり、あまり応用をきかせた難問・奇問の類は出すことができないという基本性格をふまえると、「基礎学力をしっかりつければ問題ない」という結論になります。あわてず騒がず、早目早目に勉強を始めれば恐るるに足りません。