高卒認定に関する有益情報

(1)必須科目

 必須科目は国語、地理歴史2科目(世界史AまたはBは必須、日本史AまたはBか地理AまたはBから1科目選択)、現代社会(または倫理と政治経済の2科目)、数学、理科2〜3科目(科学と人間生活と物理基礎・化学基礎・生物基礎・地学基礎のうち1科目、もしくは物理基礎・化学基礎・生物基礎・地学基礎のうち3科目選択)、英語の8科目。

(2)必須科目の免除単位

 必須科目の免除単位は次の通りです(平成15年4月以降入学者の場合。いずれも単位修得証明書で確認されます。単位取得証明書は文部科学省のホームページからダウンロードして高校で作成してもらいます。平成15年3月以前入学者の方は文部科学省のホームページで確認してください)。

平成24年4月以降に入学した者
①免除をする試験科目 ②高等学校の科目 ③免除に必要な習得単位数 ④備考
国語 国語表現Ⅰ 2 平成25年3月までに入学した者は、どちらか1科目で免除可能
国語総合 4
国語総合 4 平成25年4月以降に入学した者のみ
世界史A 世界史A 2
世界史B 世界史B 4
日本史A 日本史A 2
日本史B 日本史B 4
地理A 地理A 2
地理B 地理B 4
現代社会 現代社会 2
倫理 倫理 2
政治・経済 政治・経済 2
数学 数学Ⅰ 3
科学と人間生活(理科総合) 科学と人間生活 2
物理基礎
(物理Ⅰ)
物理基礎 2
科学基礎
(化学Ⅰ)
化学基礎 2
生物Ⅰ
(生物基礎)
生物基礎 2
地学Ⅰ
(地学基礎)
地学基礎 2
英語 オーラル・コミュニケーションⅠ 2 平成25年3月までに入学した者は、どちらか1科目で免除可能
英語Ⅰ 3
コミュニケーション英語Ⅰ 3 平成25年4月以降に入学した者のみ


平成15年4月から平成24年3月までの間に入学した者
①免除をする試験科目 ②高等学校の科目 ③免除に必要な習得単位数 ④備考
国語 国語表現Ⅰ 2 どちらか1科目で免除可能
国語総合 4
世界史A 世界史A 2
世界史B 世界史B 4
日本史A 日本史A 2
日本史B 日本史B 4
地理A 地理A 2
地理B 地理B 4
現代社会 現代社会 2
倫理 倫理 2
政治・経済 政治・経済 2
数学 数学基礎 2 どちらか1科目で免除可能
数学Ⅰ 3
科学と人間生活
(理科総合)
理科基礎 2 どれか1科目で免除可能
理科総合A 2
理科総合B 2
物理基礎
(物理Ⅰ)
物理Ⅰ 3
化学基礎
(化学Ⅰ)
化学Ⅰ 3
生物基礎
(生物Ⅰ)
生物Ⅰ 3
地学基礎
(地学Ⅰ)
地学Ⅰ 3
英語 オーラル・コミュニケーションⅠ 2 どちらか1科目で免除可能
英語Ⅰ 3

(3)必須科目の選択

 地理歴史-世界史が必須なので、日本史を選択すると関連事項も多く、勉強は進めやすくなります。覚えることが膨大に思え、独学だと最もあせりを招く暗記系科目ですが、高卒認定で出される所は基本事項で十分カバーできると言ってよく、ポイントをしぼることと反復回数を増やすことで、比較的短期間でも対処できます。なお、AとBについては申し込みの段階では区別が無く、試験当日にどちらかを選択することになるので、Bで準備してきた人も当日はAで受けるのが一番現実的です。なぜなら、その後に大学受験を考えている場合にはたいていBが必要で、文系の場合、地理歴史を受験科目に入れるのと入れないのとでは選択の幅が相当変わってきますが、高卒認定試験を取るだけならAの方が易しく、平均点がたいてい高いからです。

<地理歴史A・Bの違い>
①日本史Aは近現代史とテーマ史(生活・文化・産業技術など)に特化されており、日本史Bは通史です。
②世界史Bは通史であり、古代・中世・近世・近代・現代の全ての時代にわたって一通り満遍なく出題されます。世界史Aは世界史Bの一部と言ってよく、近現代史に特化されており、通史として出題されるのは文化史・交流史に限られます。
③地理Aは現代世界の特色と諸地域の生活・文化、地球的課題(環境、資源・エネルギー、人口、食糧、居住・都市問題など)に特化されており、地理Bは系統地理的、地誌的に地理的事象を一通りカバーしています。

 いずれもAは身近な問題として取り組めることに主眼が置かれており、体系的理解には重きが置かれていません。これに対してBは学問としての体系的系統的理解を要求しており、大学での学問につながる内容設定となっているのです。

 公民-倫理社会分野が比較的易しく、政治経済分野がやや難しいと言えます。したがって、倫理2単位をすでに修得していても政治経済が苦手な場合、現代社会で受験した方がいい場合があります。なぜなら、現代社会はたいてい倫理、社会、政治、経済、国際政治、国際経済の6問からなり、倫理、社会で得点を稼いで、政治、経済の負担を軽くすることができるからです。また、時事問題が巧みに織り込まれてくるので、新聞を日頃から読んでおくとよいでしょう。グラフや表の読み取りも出題されますが、これは予備知識が無くても常識的に解答できるので特に準備はいりませ ん。

(4)科目免除となる技能審査(資格)

①歴史能力検定試験(歴史能力検定協会)世界史2級・日本史2級

出題されるテーマは高校で学ぶ程度のものですが、 比較的高度な歴史知識が要求されます。記述問題も出題されます。

合格率約40%

練習問題: 練習問題 - 歴史能力検定 - (kentei-uketsuke.com)


②実用数学技能検定試験(数検、公益財団法人日本数学検定協会) 2級

高校2年程度のレベルで、1次:計算技能検定、2次: 数理技能検定があります。

合格率約25%
過去問: 検定過去問題 | 数学検定・算数検定(実用数学技能検定) (su-gaku.net)

③実用英語検定試験(英検、公益財団法人日本英語検定協会) 準2級
高校中級程度のレベルで、日常生活に必要な英語を理解し、 使用できることが求められます。
合格率:1次試験約35%、2次試験約80%
過去問: 準2級の過去問・対策 | 英検 | 公益財団法人 日本英語検定協会 (eiken.or.jp)

④英語検定試験(公益財団法人全国商業高等学校協会)2級
高校2~3年程度のレベル。200 語程度の文章読解、 作文、会話となります。
合格率:約15%
過去問: 英語検定試験 過去問題 | 公益財団法人全国商業高等学校協会 (zensho.or.jp)

⑤国際連合公用語英語検定試験(公益財団法人日本国際連合協会) C級

高校修了程度のレベル。リスニングとリーディングのみで、旅先や フランクな食事の場で会話を楽しんだり、 簡単な電話の取り次ぎの出来るコミュニケーションレベルです。
合格率:約25%
過去問: 国連英検 : 過去問題集リスニング音声 (kokureneiken.jp)

(5)大検で「家庭科」が合格又は免除、「英語」以外の選択科目が合格又は免除の場合

 2005年度からの高卒認定試験では「英語」が必修化されていますので、これらの科目を英語の合格又は免除に振り替えることはできません。

(6)修得単位数が全科目免除に達する場合は……

 高校・生徒によっては、高2終了時で高卒認定試験受験科目8〜10科目全部が免除される修得単位となっている場合があります。この場合、単に申請だけすればいいようにも思われますが、実際には1科目でも高卒認定試験を受験しなければ免除扱いとすることができません。ただし、受験科目は何でもよく、得意な科目、簡単な科目、必要な科目、いずれでもいいことになります。

(7)合格ライン

 2001年に大検が2回受検になった時から、合格ラインは40点でほぼ確定しました(ただ若干の下方修正をするケースが確認されています)。評価では100~80点までをA、79~60点までをB、59~40点までをCとしています。したがって、受験生の感覚では「難しかった、全然できなかった」という結果であっても、合格できてしまいます。これは定員が決まっていて、「落とすための試験」を行う大学受験と、「何とか合格させて道を開くための試験」である高卒認定試験との性格の違いでもあります。

(8)高卒認定試験直前チェック事項

①事前に下見をし、当日は余裕を持って早目に会場に入ること
 JRは天災に弱いですし、バスは朝方にはラッシュでなかなか進まないということもあります。例年、受けることができなくて合格を逃したというケースが何件も出ています。これほどもったいないことはありません。

②社会ではA・Bの選択を適切に
 世界史、日本史、地理ではAとBの選択が必要です。身近なテーマにしぼったのがAで、一通りカバーしているのがBであると大ざっぱに言えますが、平均点は概してAの方が高めです。ただ、Aでは解答する問題の選択がややこしかったりするので、注意事項をよく読んで、間違いの無いように。人によってはフリースタイルと言ってもいいAよりも、教科書的で広く浅くのBの方が性格や好みに合う場合もあります。最初にざっと見てAとBを決めればいいことですが、一般的には特に好みが無ければAにした方が無難でしょう。

③問題用紙に答えを書いて、それからマークシートに写す
 問題用紙に答えを残しておかないと、解答をもらっても自己採点ができないため、現状把握があいまいなままになってしまいます。見直しも問題用紙とマークシートと二重にチェックして、万全を期すといいでしょう。名前の書き忘れやマークのずれなどは毎年何人か出ています。自己採点がボーダーラインを上回っているのに、不合格になるのはこのケースです。これも実にもったいない話です。

④分からなくても必ずどこかをマークすること
 マークさえすれば確率何分の一かで正解になる可能性があります。なお、出題者の心理として選択肢をなるべく全部読ませて判断させたいという意図から、正解は後半に来やすい傾向があります。また、断定的な決めつけ表現(「全てが~である」「全く~ない」など)は往々にして間違いであることが多くあります。どうしても判断がつかない場合は、これらを参考にするとよいでしょう。